【ネタバレ】Assassin's Creed Etzio Collection トロコン&クリア感想
あなたのアサシンはどこから?
私はダヴィンチコードから!

アサシンクリード・エツィオコレクション(以下アサクリ、エツィオコレクション)をクリア&トロコンしたので感想をまとめます。例によって例のごとくネタバレ全開です。
●トロコンまでの道
トロコンまでに所要した時間は…
アサクリ2(「以下AC2」):29時間
ブラザーフッド(以下「ACBH」) :41時間(うち数時間はトロフィー獲得条件を勘違いしていたため、必要以上にかかってしまいました)
リベレーションズ(以下「ACRV」):27時間
でした。

メインストーリーのトロフィーは攻略を見ながら効率よく取れるけど(時限トロフィーがあるため今回はちょびっと攻略に頼りました)、アクションの腕前を問われるACRVの鬼門トロフィー「博士は感動した!」「向こう岸へ」が辛かったです。それぞれ2時間くらいかけて取れたかな。この二つのせいでトロコンへの心が折れかけました。でもこれらに関しては予め攻略動画を見ていればもう少し時間はかからなかったかも。誰だよこんなトロフィー設定したのは!!!!
●ゲーム性、操作性について
私はオリジンズをプレイしてから3→レディリバティ→4→ローグ→エツィオコレクションとプレイしていますが、オリジンズが快適すぎたのでどうしても過去作の操作性の不自由さにイライラしました。特にトロコンを目指そうとした場合はかなりキツいです。4くらいでやっと入力の反応が良くなったり、勝手に壁に上らなくなった気がする…。
あとはフルシンクロ達成の目標も相変わらずよくわからない。フルシンクロはトロフィーに関係あるだけなので、ストーリーだけ追いたい人は無視して構わないのですが…。
あとAC2ではシークエンスのリプレイ機能がなくてさみしい。「どんな話だっけ?」と振り返れないからねぇ。
●アサクリファンならぜひプレイすべき作品三本
エツィオコレクションでは、「最強のアサシン」エツィオという男の誕生(なんと出産シーンから始まるよ)から晩年までを描いており、彼のアサシンとしての、また人間としての成長を事細かに感じられます。アサクリシリーズの中でキャラ描写の期間が一番長いキャラ(10代から50代)だし、正統派ヒーローである彼の人生に自然と感情移入できるから、ファンの中でエツィオの人気が高いのも頷ける内容でした。
●ストーリー紹介
まずAC2は「僕エツィオ!フィレンツェ生まれのハンサムなボンボンさ!家族が云われのない罪で死刑にされ、そして僕の父はアサシンだった!敵討ちだ!」

「そして敵はテンプル騎士、なんだかよくわからんが仲間を集めて奴らの野望を打ち砕く!」…というお話。
※お父さんのアサシン時代はゲーム内に収録されている「アサシンクリードリネージュ」で補完されてますがよくわからなかった。

あと歴史上の偉人、レオナルドダビンチが主要NPCとして登場するのも楽しい。なんだかんだ憎めないお人。

憎めないと言いつつ、ACBHのレオナルドミッションがめんどくさくて辛かったけど…。
あとはフィレンツェやトスカーナ、ベネツィアの風景が美しいのなんの。石畳の上を歩くとちゃんと音がするし、イタリアに旅行経験がある人はきっと感動するんじゃないかしら。私はないけど感動したよ(貧弱なソース)。

そして2作目、ACBHは無事ロドリゴの野望を阻止したものの、今度はロドリゴの息子にアサシン教団の本拠地を攻撃され、命からがら逃げだしたエツィオは一路ローマへ。

ACBHの見どころは何といっても現存するローマの遺跡や文化遺産がそのまま再現されていること。重要文化財レベルの建物にひょいひょい上れちゃうのが楽しい。
エツィオ君もストーリー上で何かと「もう年なんだから」と言われるようになったり(そして言われるたびにちょっと不機嫌になる)。もっさりしてたグラフィックスもちょっときれいになりました。

また前作で仲間になった人たちはもちろん、歴史上の偉人マキャベリがアサシン教団の仲間だったり、コペルニクスを助けるサブクエスト、また若き日の恋人クリスティーナの思い出をめぐるクエストもあったりと、寄り道がたくさんでした。
あとボルジア一族は一家全員性格のねじ曲がったとんでもない敵でしたが、ルクレツィアは気のきつい美女で可愛かった。


最後のACRVは、アルタイルの軌跡を辿るため、彼の故郷やイスタンブールを旅します。この旅はエツィオのお父さんがやろうとしてたんだけど、道半ばで成し遂げられなかったんだよね。

50代にも関わらず、まだまだ現役のエツィオ。若者にアサシンの心構えを言って聞かせるなど、長老としての振る舞いが様になっています。しかし長生きするってことは仲間もたくさん失っただろうし、彼の落ち着きは悲しみや苦しみを経て形成されたものかもしれません。一方で、イスタンブールの同胞ユスフから便利な道具を教えてもらうと早速取り入れる柔軟性も持ち合わせています。まさに理想の上司。
ACRVでストーリー上特筆すべきなのは、初代AC(以下「AC1」という)の主人公アルタイルの人生を(エツィオの目を通して)最期まで追えることです。アルタイルとエツィオ、二人の壮大な物語のエンディングを目にした時は胸熱でした(現代デズモンド編は3まで続くんだけどね)。
その反動でAC3が物足りないとか、ラドンハゲードンの人気が低いとか言われるのも、まぁ今となっては頷けます(私は好きだよラドンハゲードン)。3も主人公の晩年までのエピソードがあれば個人的にはもっとよかったのに…。
あとは今までの舞台だったイタリアとはまた違う、イスタンブールのオリエンタルな街並みがすっごい綺麗で「ナニコレディズニーシー!?」とはしゃぎまくったのもいい思い出。フォトモードがないのが残念。

●「最強のアサシン」そして「預言者」エツィオ・アウディトーレ
作品中重要なキーワードとしてしばしば登場した預言者(「予言者」でないことに注意)とはなんだったのか。それは、未来のアサシンのために、第一文明人のメッセージを預かる者、という意味でした。第一文明人のミネルヴァは、エツィオの子孫が自分たちが受け継いだ先祖のDNAを使って記憶を辿りにやってくると最初から分かっていたわけです。
2で「お前が預言者だ」と教団の仲間からやんややんや言われたエツィオですがその時はピンときていませんでした。しかし2のラストにてミネルヴァと交信した時や、RVのラストにてアルタイルの記憶を辿ったことにより、エツィオは「預言者」の意味とその使命を理解したのです。前述のとおり、彼は未来のアサシン「デズモンド」にメッセージを託すために生まれてきたのでした。ややこしい。
●「伝説のアサシン」アルタイルからエツィオへつながる物語
わたしはAS1未プレイなのですが(PS3持ってないのよ)、それでも十分アルタイルの人生が把握できたし、まさか92歳(!)のアルタイルを操作することになるとは思いませんでした。

リンゴの力に取りつかれた大導師を倒した後(つまりAC1の過去編エンディング)、アルタイルや教団に何が起こったのかという、実質「続・AC1」をプレイできたし、往年のファンは感動しただろうな。私もAC1やってたら、もっと感動できただろうに。
特に、書庫の椅子に腰かけて「ゆっくり休む」を実行させられた瞬間には、アルタイルのことを全く知らなかった私でもグッときたのでありました…。


一連のアルタイルの記憶を視たエツィオは、第一文明人から続く人類の歴史の前では、最強のアサシンも所詮小さな歯車に過ぎないと思い知らされるわけです。しかし自分の人生は決して無駄ではなかったはず。アルタイルがしたように、自分もまた未来のアサシンたちに願いを託そうと、ステージ上にマイクを置いて立ち去るアイドルの如くアサシンブレードをマシャフの書庫に置いて静かに立ち去った(アサシン引退、普通のおじさんに戻ります宣言)のでした。ちなみに彼のその後はゲームに収録されているCG映画「アサシンクリードエンバース」にて語られます。そちらも鑑賞しましたが、いやぁ…しんみりしましたね。
●まとめ
操作性にナンヤカンヤあっても流石は大作、いいお話でしたし、全ての物語を見届けた後は何とも言えない満足感と感動を覚えたのは間違いありません。世界史のお勉強にもなるので、ご興味のある方はぜひプレイしてみてください。
それではこのへんで。バイなら!
【前半ネタバレなし、後半ネタバレあり】Return of the Obra Dinn プレイ記録
あなたの幽霊船はどこから?
私は「グーニーズ」からー!!(正確にはあれは幽霊船ではない)

お友達に勧められて、Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還)をNintendo Switchにてプレイしました。
以下、プレイの感想をしたためております。
前半は「どんなゲームなの?」という方に向けてのなるべくネタバレなしの内容を、苦労したところや思い出など、具体的な内容は記事後半にて記します。
前半:ネタバレなし感想
①どんなゲーム?
(Nintendo Store紹介文より引用)
ある保険調査官の体験をモノトーンで描くアドベンチャーゲーム
時は1802年。200トン以上の交易品を積んだ商船「オブラ・ディン号」が、ロンドンから東方に向けて出港した。その6か月後、同船は予定されていた喜望峰への到達を果たさず、消息不明扱いとなった。
そして今日、1807年10月14日早朝のこと。オブラ・ディン号は突然、ファルマス港に姿を現す。帆は損傷し、船員の姿も見えない。これを受け、東インド会社ロンドン本社所属の保険調査官が、ただちにファルマス港に派遣された。同船内を直接調べ、損害査定書を作成するために――。
「Return of the Obra Dinn」は、探索と論理的推理で展開する、一人称視点の謎解きミステリーアドベンチャーゲームである。
…いやあ、ワクワクしますね!
もともと「謎解き」という言葉が幼少より大好きだったわたくし、リアル脱出ゲームにここ数年はまっており、「推理力」「試される知識」などといった言葉に弱いのなんのって。紹介文を見もせず「これは前知識一切入れないほうがいいやつ!」と、セールなのをいいことにポチりました。

②なんだか怖そうだけど?
紹介画像を見た時は「ホラーかな?」と思いましたが、いきなり何かが出てきてびっくりさせる要素はありません。ただし、「なんじゃこりゃあ!?」と、目の前の出来事に多少驚くことはあるかもしれません。が、お化け屋敷無理、バイオハザード無理の私がサクサク遊べた内容ですので、怖がりサンでも大丈夫という点は保証します。あと、音楽が素敵です。船が舞台だけあって、鐘の音や重低音が響く勇壮な音楽、ハラハラする音楽が印象的です。
③難しいんじゃないの?
「謎解き」「マーダーミステリー」「リアル脱出ゲーム」「推理小説」「論理パズル」が好きな人はぜひプレイしてください。そういう意味では、難しいかもしれません。困ったら攻略サイトを使うのも手ですが、できるだけ見ないことをお勧めします。
と、言いつつ攻略サイトを見なかった私は「力業」で50%以上解答しちゃいましたが…。(ザ☆脳筋)
なお、私のプレイ時間は約11時間でした。
④注意点は?
強いて言えば、一人称視点でプレイするゲームなので、画面酔いする人にはお勧めできません。ですが、操作環境の設定で、カメラワークを緩やかにすることができるので、それでましになるかもしれません。私はあまり画面酔いしないタイプですが、視点をせわしなくグルグル動かしていたらちょっと気分が悪くなりました。画面の色もモノトーンなのでつい画面を凝視しがちです。こまめに画面から目を離してストレッチしましょう。
もう一つは、暴力描写があるため、スプラッタにめちゃくちゃ弱い方にもおすすめできません。ちなみにレーティングはCERO-D(17歳以上対象)です。私は実写のスプラッタ映画は絶対に無理なのですが、アニメやゲームは割と平気です(長いこと見てると気分が悪くなることもありますが)。このゲームでも、そういう描写のシーンでは気分が悪くなることはありませんでした。だって画面がモノトーンだからね。
…以上より、興味を持たれた方はぜひプレイしてみてください。
後半:ネタバレあり感想
①50%くらいを「総当たりルーレット」でクリア
謎解きが好きな割に、おつむは伴っていない私。行き詰まることもしばしばでした。そんな時はこのゲームのミソである「正解判定が行われるタイミングは、3人分の正解がそろったとき」を逆手に(?)利用し、例えば中国人四人組やロシア人三人組など、決め手に欠けた人たちを「死因」のみ特定させ、あとは怪しい名前をルーレットさせる、という方法を取りました。でも、そういうのを思いつくのも知恵じゃない!?(じゃないと思う)。後日、攻略サイトでちゃんと全員に「決め手」があることを知りましたが、んなもんわかるかい!!!!特にハンモックの番号は、配信をリアルタイムで観てくれていたお友達が気付いてくれました。あれ見過ごしてたら詰んでたな。
②ヘンリー・エバンスに気づけなかった

9章「脱出」の失踪者4名について、結論を出せないまま一度下船しました。バッドエンディングの手紙をみて、「やられたーーー!!」と思ったのは私だけですか…?
大事なことほど最初に書いてある、リアル脱出ゲームの基本をおろそかにした結果でした。

その後きちんと手記を埋め、トゥルーエンディングを見ました。おそらくこれこそが大謎だったのでしょう。
③あってよかった雑学の知識
身元特定にあたり、ロシア語や中国語(台湾語もあるよ)、イギリス英語やアメリカ英語についての知識が役立ったこともありました。フォルモサの王族リム(女性)は家来から「小姐(お嬢様など、身分の高い女性の呼称)」と呼ばれるのですが、この発音が「しゃおちぇ」でなかったのに引っかかった私。後日「フォルモサ(Formosa, 福爾摩沙)」は台湾のことだと知って納得。あとはマリンボーダー着てる=フランス人じゃね?とか、パプアニューギニアの方ってタトゥー入れる文化なかったっけ?とか、かなり適当な雑学を元におこなった推測が当たったことも。
④「死の瞬間のドミノ倒し」がさらなる事実を見せる不思議な感覚
あの懐中時計のギミックでサイコメトラーの気分を味わえたのが楽しかったです。死の瞬間、何が聞こえ、その場で何があったのか。今でこそ防犯カメラやドライブレコーダーなどで事件の瞬間を垣間見ることはできますが、その静止した瞬間を観察し、歩き回るという経験は新鮮でしたし、何より「その場にある新たな死体からさらに時間を移動できる」というのも、入れ子構造というか、ちょっと違うけど映画「インセプション」のような印象でした。
また、乗員ではない人物や、人間ではないものの「死」からも時間を移動できた時は「おお!」と感動。


ある者は怖気づいて逃げ、ある者は果敢に戦い命を落とし、ある者は己の欲望のために行動した結果、乗員ほぼ全員が無残な死を遂げる。そんな死の瞬間を、淡々と調査する保険調査員(忘れがちだけど、プレイヤーは東インド会社の保険調査員なのよね…)のギャップよ。スタートが起承転結の「結」から始まって起→承と続き、最後は「転」で終わるストーリーの進行もよかった。
⑤残った謎は自分で考えることへの是非
最早「後味悪い」とか「考察系」というワードは一般的になっていますが、このゲームも補完できていない箇所がいくつかあります。たとえば「エバンズ医師が懐中時計を手に入れた経緯」や「懐中時計のギミックの由来」、「あの貝殻は何のために船へ持ち込まれたのか」「三等航海士がなぜ呪いの解き方を知っていたのか」などなど。
ですが、実際ってそういうもんなんだよなぁ。世の中の事件は、客観的証拠でしか事実を突き止められない。当事者の証言だって記憶違いや勘違い、はたまた証人が嘘を付いたりしたら真相は闇の中。「真実と事実は違う」とはよく言ったものです。
そしてこのゲームの主人公の目的はあくまで保険調査のために乗員の死亡理由を確認することであり、懐中時計の不思議な力を使って事件の断片的な光景を垣間見ているのにすぎない。完全なストーリを知ることは出来ないのです。プレイヤーを突き放すような淡々としたThe Endは、かえって不思議な後味を残しました。
⑥死因は複数の正解がある
人物の死因を推測するにあたり、複数正解が設けられていることがあります。そもそも死体が見つからない者は推測するしかない。船外に転落したか、化け物に食べられたか、爆発四散して跡形もなくなったのか、プレイした人一人ひとりの答えが違ってても「はい全員正解」というのもリアルです。だって死体がないんだもん。

あれだけ生々しい凄惨な現場だったのに、最後に残るのは書類のみ。しかしページをめくるごとに、全員の最期の姿(生きてる人もいるけど)がまざまざと思い出されます。

さてさてReturn of the Obra Dinn、たいへん面白いゲームでした。ぜひクリアした人たちと輪になって話し合いたい一本でしたね。それでは、バイならー
【ネタバレ】Ghost of Tsushima感想~誉れは犬に食わせ申した
どうもこんにちは、Jonathanです。

ゴーストオブツシマをトロコンしました。
プレイ開始は2020年7月22日、メインクエストクリアは8月14日、トロフィーコンプは8月15日と、約3週間じっくり遊ばせていただきました。
「舞台が日本」「テーマは元寇」「でも作ったのはアメリカの会社」という情報で、発売前には期待半分不安半分でしたが、プレイした感想はひとつ。
日 本 に 生 ま れ て よ か っ た 。
あまりにも感動しあまりにもクリア後のツシマロスが激しいため、こうやって文章をしたためないことには心の平穏が保てない。
久しぶりに攻略情報を一切見ないで(見なくても収集物やボスは倒せるようになってるし)ネタバレを全く食らわずクリアできただけあって、ストーリーにハラハラさせられました。というわけで…
※以下大いにネタバレです※
未プレイの方はWikipediaにも詳細なシナリオが書いてあるからググっちゃだめよ!!!
●細かいところに突っ込みどころは多々あるけども
「隻狼」の時代風景が「ありそうでありえない、でもちゃんと日本してる」という久しぶりにドツボにはまった戦国ファンタジーだったので、ツシマはどうなのかなと思っていました。実際ゲームを進めていると、
・政子殿の姉上、鎌倉時代にそんな帯はなかったぞ、とか
・お坊様、そんなところを箒で掃くと板がいたみますよ、とか
・現代風のりんごはこの時代日本にはなかったんやおまへんか、とか
・その袴はもう少し後の時代のスタイルとちゃいまっか、とか
日本で暮らして時代劇に慣れ親しんでいると(まぁ時代劇も結構フィクションをぶっ込んでるんですけど)突っ込みたくなるところは数々あれど、そんな些細なことは序の段をクリアするころには頭から吹っ飛んでました。
だってこのツシマはファンタジーツシマなんだもん。
アサクリだって見る人が見たら「???」てなるところはあると思うし。
むしろこれがコー〇ーテクモだったらハンサムと美少女とおっぱいしか出てこなかっただろうしな…。
それよりも制作陣が徹底的にこだわった泥臭い時代劇アクションと、「冥人(くろうど)」と呼ばれ、冥人として生きることを決めた仁殿の生きざまを見てほしい。
●泣いた、泣かされた、友たちの死
登場人物のうち、誰かはどこかで死んでしまうのではないか、と危惧していましたが、メインNPCで死んでしまったのはまさかの”たか”。

衝撃だったのはその死にざま。ハーンがたかを斬り殺し、その後自らの膂力に物を言わせて首を引きちぎり、仁の前に見せつけるという残虐非道なムービーには「やめてえええええ!」と声をあげてしまいました。そうだ思い出した、このゲームはCEROZだったのだ…。 あとハーン役のパトリック・ギャラガー氏は「ナイトミュージアム」でのおちゃめな演技しか知らなかったから余計にショック!


仁殿のこの表情。これまで「終わらせたくないよー」と散々寄り道食ってた私はこの瞬間から「ハーン討つべし」と心を決めたのであります。オープンワールドは自由に遊べばいいんだけど、たかの死はプレイヤーに「仁として蒙古を倒す」と決意させる大きな要因になったと思います。

そして更にショックだったのはまさかの愛馬の死。序盤にどの馬にするか選び、名前も付け、時には仁殿にちょっかいを出してくるお馬さん。この死もまた辛かった。

「少し疲れたか?」「これが終わったら穏やかな旅に出ような」「これからもよろしくな」と、愛馬にとても優しげに語り掛ける仁殿の姿をずっと見ていただけに…。馬が死ぬゲームってブレワイ以来じゃない?ブレワイは条件を整えれば生き返らせられるけど。
愛馬のお墓が「友の墓」というファストトラベル地点になっているのも、仁殿の愛馬への思いが感じられます。
メインクエストも終盤になると、ゆなから新しい馬を用意され、名前も付けられるので一安心。でも失った友は帰らない。私は泣いた。泣きに泣いた。
馬にここまで愛着を持たせるようにしたのも、仁殿が志村城から脱出する際に「全て失ってしまった」と強く印象付ける布石だったんだね…。
●ゆなとの関係

変にロマンス要素を入れず、「その後恋人同士になった」とも「お互い相棒として生きていった」とも取れる終わり方がとても好感を持てました。あくまで境井仁が蒙古と戦うお話で終わるのが爽やかで良かったです。最近のディズニーでも、男女がくっつくより男女のバディもののお話が増えてきてるよね。雰囲気からして、ゆなは仁より年上なのかなぁと勝手に思っています。あと上県の丈志はゆなの元カレだろうなぁ。
あとハーンを打ち取った後のゆなとの会話で「もう一人の冥人として頑張ろう」or「真の友としてこれからもよろしく」の二択しかなかったし、恋人としてはこの時点ではナシってことなのかね。
一方ハーンの船へ討ち入る前日、ゆなが「あたしと一緒に対馬を出て、どこか遠いところに行こう」と仁に言ったのは、冗談八割本気二割くらいだったんじゃないかな。恋愛感情あるなしに関わらず、ボロボロになりながら一人で戦った人間を、勝ち目の薄い戦いで死なせたくないのは誰だってそうだろうしね。とにかくゆなの肝っ玉には本当に救われた。
●叔父上とのすれ違い、そして別れ

メインクエストはハーンを倒しただけでは終わらない。それがこのゲームのすごいところ。志村様は対馬の地頭(えらいひと)であり、武士の道を外れたことで対馬の侍社会、ひいては鎌倉幕府への不穏分子となる仁殿を、幕府の命により排除しなければならない立場なのです。ここがまた辛い。

境井家の墓参りに連れ立つ二人。見事ハーンを討ち取ったにもかかわらず、仁殿の所業は捨て置けないと鎌倉幕府が志村様へ「境井家は取り潰し、また境井仁を(死を以て)処罰すべし」とお達しなされたようで。
境井家の墓前で辞世の句を残し、叔父上からの処罰を待つ。しかし叔父上は斬首ではなく、果し合いをしようと言います。これはびっくり。てっきり仁殿死んでしまうと思った…。

壮絶な果し合いの末、叔父上に打勝つと、叔父上を殺すか生かすか選ばされます。
なんてことさせるんだよ畜生!!!
武士の果し合いは、結果必ずどちらかが死ぬ。そして叔父上が負けた時「武士として誉れある死のため、とどめを刺してくれ」と言うわけです。もうね、あれですよ、
誉れは犬のエサですわ!!!!!
結構悩みましたが、私は叔父上を生かすことに。武士の発想で言えば誉れある死をあげるのが一番いいのでしょうが、今まで父親代わりであり師匠であった人を殺すなどできようか、ていうか僕武士じゃねーし冥人だしキラリン☆という正当化のもと、かっこよく立ち去りました。

そうこうして無事終了した私のツシマ。本当に楽しかったし、その分ロスがひどく、しばらく何もする気になれなかった…。
それでは今回はあっさりめに、バイなら!
【ネタバレ】Bloodborne/ブラッドボーン トロコン記念感想
どうもこんにちは。Jonathanです。

あなたのフロムゲーはどこから?わたしは隻狼から!
というわけでデトロイト考察をほったらかし、先日、Bloodborne本編とDLCをオールソロプレイでトロフィーコンプしました。
(早くゴーストオブツシマをやりたかったからやや駆け足だったのは否めない)
今年の一月にPS4を入手した際、最初のソフトをそれにするか迷った結果、何かと話題だった「隻狼」をプレイ、これをきっかけに「死にゲー」をクリアする快感に目覚めてしまい(ちなみに私の死にゲーは「HOLLOW NIGHT」から)、そこからフロムソフトウェア沼にダストシュートされた私。ブラボ、ダクソ、という単語は聞いたことがあったけど、洋ゲーだとばかり思っていて手を出さずにいたのですが、日本産のゲームだったとは!(※この記事を加筆修正している2021年3月1日時点で、ソニーの日本開発スタジオが閉鎖というニュースを知り、ショックを受けています)
隻狼がおもしろかったし(卑怯な小技を使いつつトロコンした)、ダクソとブラボも面白かろうと思っていたところソウルシリーズ全プレイ済みの友人に「(めっちゃ難しいと評判だけど)ぶっちゃけどう?」と聞いたら「隻狼できるならいけるよ」と後押しをもらえたので、まずは一本で完結しているBloodborneから始めることに。
※以下本作及びちょこっと隻狼のネタバレガンガンかましておりますのでご注意ください※
●おもしろかった、物理攻撃ー!(物理攻撃ー!)

私のアクションゲームの技術はそんなに高い方ではなく、スプラトゥーンもウデマエS+0どまり。死にながら覚えた根性の勝利。 あとは先人たちの攻略動画のおかげ。これは本当に大きい。
トロコン時点で総プレイ時間は92時間。
トロコンまでの道のりは、1周目で聖杯ダンジョン以外をDLC含め全部クリアし、エンディングはセーブデータ読み込みで三つとも全部確認した後に2周目突入、寄り道せずに禁域の森で風車のショートカットを開通させたあたり。すべては2周目の敵の強化にびびったため必要以上に周回したくなかったのと、1周目でできる限りイベントを回収したい私の性分からである。

狩人は男性でこんな顔。最初白髪×黄色い目にしたらまんまウィッチャーのゲラルトだったのでボツ。二つ目はオールバックで顔に傷のあるオッサンにしたらまんま隻狼の狼だったのでこれもボツ。刷り込まれたイメージっておそろしい!(いやでもこれも十分まだ狼)

ちなみにクリア時のステータスはこのくらい。
ザ☆脳筋!!物理攻撃が世界を救う!!
人形ちゃんも呆れるステ振り!
基本的にどのゲームでも物理重視、魔法なにそれおいしいのを地で行くタイプなので、今回も「神秘?血質?なにそれ獣の餌?」状態でした。おかげで神秘武器全然使わなかった(多分エーブリエタースの先触れとかはポケットの中でドロドロに腐ってる)。

右手武器はノコギリ鉈とルドウィークの聖剣。他の武器も触ってみたけど、攻撃スピードと一撃の威力のバランスがいいタイプが好きなのでこの二本で戦い抜いた。左手武器はほとんど短銃と獣狩りの松明。ロマの時に火炎放射器を使ったくらい。モンハンでもスプラトゥーンでもそうだけど、「まず色々触ってみる」ということをせずにずっと同じものを使い続ける私。色々ひどい。
●楽しかった、銃パリィ~!(銃パリぃー!)
まず恐ろしかったのは「防御」という概念が皆無であること。敵からの攻撃は避けるor死という二択。そして最初から最後まで「敵の一撃が即致命傷」という鬼畜仕様に「これクリアできるんかな」という不安がよぎりまくってました。とはいえ隻狼の洗礼を受けていたおかげで「死んで覚える」の精神は叩き込まれていたし、パリィに関しては初代鬼武者(PS2)で鍛えていたからそこそこイケる!だがしかし基本イケイケどんどんボタン連打でゴー!の無双ゲー精神が抜けておらず、ヤーナム市街の灯りからガスコイン神父のいるオドンの地下墓地に到達するまで体感500回は死にました。

あとこの噴水広場に到達するまでに体感100回死にました。
二点目は、装備で防御力がめっちゃ上がるわけじゃないとこ。ブラボにおける装備の変更は遅効毒、劇毒、発狂その他の耐性をつけるためもしくは外見変えるだけのおしゃれ小物扱いでしかないということがわかった瞬間膝から崩れ落ちる私。ヒドイヨ…ヒドイヨ…
そしてレベルが上がっても全てのステータスが一律に上がっていくのではなく、上げたい項目をどれか一つ選べ、一兎を追うものは一兎だけ追えのスタイルに撃沈。ストーリーが進むにつれて敵の攻撃力は激しくなるのに、防御力は自動的に上がらないというのがひどい。鬼~!
●ちょっぴり怖かった、ヤーナム市街~!(ヤーナム市街ー!)
雰囲気は大好きなゴシックホラーの雰囲気と思いきや、根底にあったのはまさかのクトゥルフ神話。ちょっと前に「Bloodborneはクトゥルフ」と聞いていたのでフーンと思っていたのですが(クトゥルフに関してはTRPGでかじってる程度)、大聖堂に入ったあたりから名状しがたき恐怖が私を襲ったのでした。


隻狼ではあまり出くわさなかった「急に飛び出してきてびっくりさせる系(いわゆるジャンプスケアリー)」がちょこちょこあって初見で叫びまくったのもいい思い出。基本的にホラーは無理、大きい音や暗いところもめちゃくちゃに無理なので最初はどうなることかと…。
ストーリーについては、クリアしただけでは全く理解できなかったため、考察サイトやまとめスレで補完しました。

それにしても啓蒙がゼロのときに人形が動かなくなるっていうのは…ウヒョエー…
●とても辛かった、ボスとの闘いー!(ボスとの闘い~!)
本編DLC通して苦労したところはたくさんありますが、負けまくったボスに対してはNPC召喚でなんとかクリアしました。ガスコイン神父は初見五回目くらいでクリア。

教区長エミーリアは単純にレベルと火力が足りておらず(ゲーム内で適正レベルも教えてもらえないし、攻略を見てうっかりネタバレするのもイヤだったし)、バンバン回復されて半泣きになったものの、古狩人ヘンリエッタを召喚したら即倒せました(聖職者の獣と血に乾いた獣は存在に気づかず結構後半に倒したという)。デュラはたどり着くまで体感700回くらい死にました。なんとか彼の足元にたどり着いたら、ご本人様は勝手に落下死していたのであっさり終了…。デュラ戦は、ガトリング砲にたどり着くまでが本番だね。

その後白痴の蜘蛛、ロマまでは割りと困らず進めたし、ロマについてもメンシスのダーミアンと古狩人ヘンリックを召喚して何度かやり直しただけで済みました。
そうだね、やっぱり筋力×ノコギリ鉈だね!

カインハーストは入り口のノミ女が強すぎて、まだ自分が適正レベルではないのかと勘違いして後回しにしており、レベル90くらいで再挑戦したところ、ローゲリウスはあっさり倒せるくらいになっていた。筋力ってすごい! むしろ道中の雑魚敵が鬱陶しかったな。

本当に苦労したのは千景の狩人とDLCのラスボス、ゴースの遺子。千景の狩人には体感1000回くらいやられたし、ゴースの遺子には500回やられました。この二つにかなり時間がかかったので、助っ人を呼ぶためオンラインプラン加入を検討した。そして結局一人で倒した。人生の大概のトラブルは己の筋力と毒物が解決してくれるわけです。


●全然気づかなかった、NPCイベントー!(NPCイベントー!)

まさかNPCイベントがふんだんにあるとは思わず、1周目で交流できたのは鎮静剤おばあちゃんとオルゴールの女の子、あとアイリーン姉御くらいでした。
オドン聖堂の赤ローブのおっさんに関しては敵だと思って聖堂に入った瞬間ノコギリの錆にしました。
まさかNPCに攻撃できるとは思わなかったのよ…。

アイリーンさんはストーリー進行でいつか死んでしまうのではと恐れていたけど予想的中、仇である千景の狩人は激闘の末討ち取れたので良かった。
おばあちゃんに関しては、聖堂まで無事に来れたんだから大丈夫だろうと思ったらまさかの無事死亡。

いや、「お前のために取ってきてやるからちょっと待っててね」的な置手紙を一度見つけた時点で何か察しろよ私。
●全然理解できない、エンディングー!(エンディングー!)
隻狼での経験を踏まえて、一番てっとり早い方法を選ぶとノーマルエンディング、一番めんどくさい手順を踏むのがグッドエンディング、修羅に落ちるのがバッドエンディングと大まかにメタ予想していたので、ゲールマン先生に合う手前のセーブデータ読み込み作戦により一周目ですべてのエンディングに到達したわけですが…
いやこれどれも救いがないやん。
「ヤーナムの夜明け」EDはおそらくアイリーンやデュラが経験したように、獣狩りの夜の狩人として自分に課せられた役目は終えたけど、結局ヤーナムは上位者からの介入や獣の病から抜け出せたわけではなく自分一人だけが目覚めて終わるという「本当にそれでよかったのでしょうか」的なもの。
「意思を継ぐもの」EDは、自分がゲールマンのポジションを継いで次の狩人を待ち続けるという、隻狼の「不死断ち」みたいなやり切れない感じ。もはや自分は狩人として獣の病や上位者と闘えないという点で、これも私にとっては救いがない。でもゲールマンは存在があやふやだったし、希望をひとつつなぐという点ではアリなのかも…?でも月の魔物に魅入られるってどういうこと…?

「幼年期のはじまり」EDは私の中では一番アウト。自らが上位者になってどうするんだろうという話。医療教会の人たちやヨセフカにしてみたら素晴らしい選択ということになるのだろうか。あかん、よーわからん。
しかし、このどれをとっても後味が悪い結末…
大好物ですね!!!!!!!!
~合唱「大地讃頌」~
●終わりに
わたし狩人は 今 狩人の夢を卒業します
このヤーナム市街で学んだことを忘れず、対馬へと旅立ちます
たくさんの思い出と血の遺志を胸に 上位者の世界に向かってはばたいていきます
ありがとう 狩人の夢
さようなら メンシスの悪夢
さようなら 古狩人の皆さん
さようなら ゲールマン先生
さようなら さようなら
以上、Jonathanでした。バイなら!
【ネタバレ】DETROIT:Become Human/デトロイトビカムヒューマン 考察⑤
こんにちは、Jonathanです。
今回はCh.6「夜のあらし」を考察します。しかしなぜ「嵐の夜」ではないんでしょうか。何か意味があるのかな?

前回の記事はこちら:
hootash-im-amenophas.hatenablog.com
それではレッツラゴー!
Ch.6 夜のあらし

カーラのおかげできれいになったキッチン。リビングのソファで眠りこけているトッドを起こして夕食の時間です。

薄暗い時間なのに、ダイニングの電気は消えたまま。夕食を運んだカーラがスイッチを付けに行きます。普通、暗くなったらリビングにいたアリスが自分で電気のスイッチを押しに行きそうなものだけど、もしそれでトッドが起きようものならきっと怒鳴ったりするんだろうな…「まぶしいぞ!」とか言って。寧ろそういうことが既にあったから、アリスは何もせずじっとしてたのかも…などと色々考えてしまう。

食卓についても、アリスは目を伏せて正面のトッドを見ようとしません。明らかにトッドに対して怯えています。
「あり合わせのものですけど、これしかなくて」とカーラが作ったのはスパゲティ。HSG(H=話が S=それます G=が)、アメリカの貧困層と言われる家庭の子供たちは肥満の子が多いと何かで読みました。貧困層の子供たちと言われるとがりがりに痩せている姿を想像しがちですが、アメリカでは新鮮な野菜よりもパンなどの炭水化物やスナック菓子のほうが安価らしく、従って安くておなかが膨れる炭水化物の摂取量が多くなってしまい、貧困=偏った栄養による肥満体型、という図式が出来上がっているようです。この話を聞いたのがだいぶ前なので今もそうなのかはわかりませんが。
いやでも私も非常食としてスパゲティをストックしてるから一概にそうとは言えないだろうけどね。茹でるだけで出来上がりだし、おいしいしね。でも前の記事で確認した通り冷蔵庫にロクなものなかったし、アリスが人間ならこんな食生活を続けていれば肥満になってそう。現にトッドはアリスの宝箱から出てきた写真の時より太ってるもんね。年のせいもあると思うけど明らかに生活習慣も影響してるだろコレ。

おいしそうなご飯を目の前にしても、アリスの表情は硬いまま。ここでカーラは二人に水を注ぎ、アリスにナプキンをかけてやります。しかし食事に一向に手を付けようとしない二人。するとトッドが不穏なことをしゃべり始めます。

話を聞くと、職を失ってから生活が荒れだしたトッドを奥さんは諫めていたようですが、トッドは薬に手を出してDVを繰り返し、耐えかねた奥さんは会計士の男性と関係を持ち(本物の娘と一緒に)出て行ったそうです。アリスの表情に緊張が走る…。
この一言を聞いていると、あたかもアリスが置いて行かれたような風に取れるのですが、アリス=出て行った娘の代わりに購入されたアンドロイドと知った後で聞くと、トッドの錯乱ぶりと娘への執着が発覚し、余計怖いシーンに。
奥さんが出て行ったあと、トッドはパートナーとしての女性アンドロイドではなく、子供のアンドロイドを求めたわけですが、その理由はいくつかの条件が重なれば作中で本人の口から語られます。

トッドの語気が荒くなるにつれ、アリスの腰が引けていきます。

完全に、いつでも逃げ出せるように腰を浮かしているアリス。見ているほうにも緊張が走るシーン。うう、やめてほしい…。

星〇徹ばりのちゃぶ台返しをきめたトッド。カーラにも緊張が走ります。


ついにアリスを殴ったトッド。(このあたりは見ててつらかった…)大人の事情か、殴られる瞬間は映りません。血は出ていないようだけど…たまりかねたアリスは二階へ避難します。

アリスのところへ向かおうとするカーラをみてトッドが一言

「そこいにいろ!」

と命令します。マインドパレスにも「動くな」とデカデカと表示され、いつもの待機姿勢になるカーラ。
ここで少しでも何かボタンを押すと、マインドパレス破壊のフェーズに入ります。



プレイした方は分かると思いますが、このフェーズ時に命令文がどんどん文字化けしていく演出が、カーラの中で異常が発生している様子を克明に描いており、とても緊張します。

壁を壊したのはマインドパレス内のカーラですが、変異体となった瞬間自分の手を見つめるカーラ。自分に起こった出来事が半ば信じられない様子。

今度は「アリスを守る」というカーラ自身の意思がマインドパレスに表示されました。

一周目では、私はまずトッドを説得→突き飛ばされたのでトッドの部屋から銃を持ち出し、トッドを脅したら殺害してしまったのですが、今回は銃を持たず真っ先にアリスの部屋へ向かいました。

アリスの部屋へ向かったカーラ。アリスはあの小さなテントの中に隠れています。大人もそうですが、危機的状況では無意識に小さな閉鎖された空間へ避難しようとするのだろうな。カーラが家にやってきたときもアリスはテントの中に隠れていたし、テントの中がアリスにとって安らげるところなのかも。
そしてこのシーンの恐ろしいところは、ここでモタモタしてると選択肢がどんどん少なくなってしまうこと。


まぁ予想できたことだけど、やっぱりカーラが修理に出されたのはトッドの暴行が原因だった模様。その現場を見ていたアリスも相当ショックを受けたと思う。もしかしたら、アリスはその事件を目撃したことがきっかけで既に変異体になっていたかも?アリスは変異体か、変異体だったとしたらそれはいつからか、については本編で語られないので想像の域を出ませんが。
そうこうしているうちに、トッドがアリスの部屋へ。そこをどけ、というトッドに対してカーラは、

断 固 拒 否 。
LEDは黄色に光り、表はこわばっている。そりゃそうだよ、格闘なんかできない家事手伝いアンドロイドだから!
この後QTEでトッドと格闘することになります。成功するとトッドが傷を負います。ほんまに家事手伝いロボットなのか?(n回目)
それでもアリスにすがろうとするトッド。愛というよりは執着だね。

目の前の出来事に放心状態のアリス。Ch.1「人質」のエマも、人質に取られているあいだ同じような表情をしていました。
ショック状態のアリスの手を引いてなんとかカーラは家を脱出し、二人は通りがかったバスに乗り込みトッドから逃げ出したのでした。


ほっとしたのか、カーラの肩にもたれかかり手を重ねるアリス。カーラはその手を握り返します。
ここから二人の長い長い逃避行が始まるのでした。
●余談
トッドが生きていた場合、脱出に成功すると、バスに乗り込んだ二人に向かってトッドがこのように叫びます。


「俺はご主人さまだぞ!」は、まぁ所有物のカーラに対してだと思いますが、アリスの正体が分かった後に「俺のものだ!」のセリフを聞くと、おや、と思うことがないでもないような。
もしこの「俺のものだ!」がアリスを指すなら、どっちかというと「俺の娘だ!」とでも言いそうなもの。「俺のもの」がカーラを指すなら、わざわざ逃げるカーラに向かって「俺の(所有している)ものだ!」と言うのはちょっと変かなぁと(戻ってこい的な意味で言っているなら、まぁ通じるかな?)。英語のセリフを見ていないのでわかりませんが、このトッドのセリフは逃げる二人に対して「(お前たちは)俺の(所有している)ものだ!」と言っているのだとしたら納得。
ちょっとこじつけて考えすぎてるかもしれないけどね。
それでは今回はここまで。バイなら!
Jonathan
【ネタバレ】DETROIT:Become Human/デトロイトビカムヒューマン 考察④
こんにちは、Jonathanです。

今回はCh.5「相棒」を観察&考察していきます。
前回の記事はこちら:
hootash-im-amenophas.hatenablog.com
それではレッツラゴー!
Ch.5 相棒
●ジミーのバー
ハンクに話しかける前に、店内を観察。細かいところが気になるのが僕の悪い癖 by杉〇右京

冒頭の画像でもわかりますが、このお店はアンドロイドお断りです。
店主に犯罪歴がないとのことでほっとする。というか、そこまでわかるコナーの性能にびっくり。



「アンドロイドBANせよ」「失業率31%、いつ止まるの」
などとお店に落書きが。落書きをそのままにしておくジミー、彼もアンドロイドにいい感情を持っていないからそのままにしておくんだろうか。いやでも落書きそのままはマズイやろ。

サンドイッチとフレンチフライのお皿。いもがおいしそうですね。
画像は割愛しますが、フェイススキャンをお客にも実施すると、無職の人、暴力事件など、殺人や強盗までとはいかないけど、ちょっとした(被害者からしたらたまったもんじゃないけど)前科のある人もちらほら。ここでもデトロイトの闇が垣間見えます。デトロイトに限らないかもだけどさ。

こんにちはハンク。カウンターに俯いて座っている、うーんなんとなくダウナーな感じを受けます。お酒の場で一人うつむいているって、考え事をしているかよっぽど落ち込んでるかのどっちかな気がする。さすがに犯罪歴はない。だがしかし職場でのトラブルはわんさかありそうだぞ!

目を細めて顔だけを向ける姿勢、友好的な雰囲気はゼロであります。明らかにコナーのことを訝しんで探っている様子。自己紹介しても全然話を聞いてくれない。
ここで「一杯おごる」「外で待つ」「酒を取り上げる」が選べますが、興味本位で「酒を取り上げる」と

胸倉つかまれたでござる。この時「別に殴ってもいいけど修理代払うのは警部補ですよ」と言い放つコナー。コナーはやはり自分が「機械」であり、いくらでも替えがきくし「死ぬ=シャットダウン」「ケガ=破損」への恐怖がないことがわかります。どんな理由であれハンクがアンドロイドのことをめっちゃ嫌っていることがわかったところで、二人で初めての事件捜査へ。
●カルロスの家
到着するなりハンクから「来るな」の一言。

ハンクの「ついてくるな」という命令と「事件を捜査する」という優先事項を天秤にかけ、ハンクを無視して捜査に参加するコナー。ここはプレイヤーに選択の余地がなく、任務を優先させるのがまさに機械。
さらに事件現場に近づくと、ハンクの同僚から「あんたがアンドロイドとはねえ」と何やら意味深な発言が。ハンクのアンドロイド嫌い(というより最早憎しみ)は周知の事実である模様。よく見ると現場封鎖の警官はアンドロイドで、ch.2でデモ隊が警官に言い放った一言の意味がここでわかります。現状では野次馬の整理とかに導入されているんだろうけど、コナーのような事件捜査アンドロイドが普及するのも時間の問題かも。ハンクが「俺の連れだ」と言ってくれたので入れるようになりました。今のはデレってことでいいですね?
①おうちの外観


聞き込みの情報によると、殺人事件被害者のカルロスはずっと家に引きこもっており、死体が発見されたのも死後約3週間ほど経過してからのこと。ごみは積まれっぱなし、トッドの家と同じように、あまりメンテナンスは行き届いていないようです。

ボロボロの車。廃車手続が出来なかったのか、前の居住者のものをそのままに
しているのか。とにかく、こういったゴミを放っておく、という精神状態が既にヤバそう。荒れ加減でいえばトッドよりこちらのほうが数段上。
②リビング


案の定家の中もごみが散乱。酒瓶や缶やら、テイクアウトのドリンクカップやたばこの吸い殻も転がっています。トッドの家はここに比べたらましなほうだったけど、もしカーラがいなければ(そしてカーラとアリスが逃げ出した後)こんな風になっていくんだろうか…。

アウト。
デトロイト中に蔓延しているレッドアイス、カルロスお前もか!

衣装ダンスを開けてみると、服とか箱が散乱。整理整頓されておらず、バンバン突っ込んでるだけ。まぁ、荒れてるんだろうな。部屋の乱れは心の乱れ!

この物語のカギともいえる"I AM ALIVE"の文字。フォント名は"CYBERLIFE SANS"なので、サイバーライフ社のアンドロイドが文字を手書きする際に使用しているのがこのフォントなんでしょう。「筆跡」ではなく「フォント」と出てしまうあたりがアンドロイドらしい。ちなみにSANS体=ダサいっていうネタを知ったのはUNDERTALEのおかげ。話がそれるけど、アンドロイドが普段文字を書く状況ってどういうときだろう。ペーパーレスが進んでいる世界のようだし。
そして文字が書いてあるのは、文字通り取ってつけたような木の板。家の修繕のためでしょうか、それにしても本当に衣食住に気を遣わない状態だったんだなカルロス。

壁には露出の多いオネーチャンのとスポーツ選手の写真。

別のところには格闘技の試合告知か選手のポスターも貼ってあるけど、オネーチャンのグラビアと格闘技ポスターのセットは鉄板なのだろうか…まぁカルロスの趣味が垣間見えますね。
③キッチン

格闘の後なのでモノが床に散乱しているのは別として、お鍋とフライパンは磨くのが面倒くさいのか焦げ付きまくり。タイルも剥げているし、健全な食生活を送っていたとは言い難い。

テーブルにはオレンジジュースとかコップが複数(複数あるってことはきっと洗ってない)置いてあった模様。私もついついマグカップを使っては放置してしまうことがあるので、気持ちわかる。

冷蔵庫にも、露出高めのオネーチャンの写真がベタベタと。

凶器から指紋が検出されないことから、どうやら加害者はアンドロイドだと推測。
④浴室

鏡がないのが印象的。もしかしたらカルロスが割ったのかもしれないけど、鏡が取り付けてあったような跡は見られない。壁の塗りがざらざらしてるのは普通にみるとおしゃれ感あるけど、こんな状況下だと荒んだ印象しかないし、ホラー映画に出てくるああいう壁の感じやおまへんかこれ。あとトッドと違って洗面台周りに置いてるものが極端に少ない。

いやこのゲームホラーかよ!!!!聞いてねえぞ!!(初見で叫んだ)
シャワールームのカーテンを開けると、この物語のキーワードとなる”RA9”の文字。ハンコを押したような均一な文字と、書き殴っているような字体の二種類が見て取れます。数の多さは圧倒的に書き殴っている字体の方で、雑に見えても字体が均一なのがやはりアンドロイド。最初はSANSで書いてたのが、どんどん字が乱れて行ったんだろうな。精神的に追い詰められている印象を受けます。

足元には土くれか素焼き粘土で作ったような人形、動物の骨(チキンっぽい)、花や落ち葉など、捧げもののようなものが散らばっています。これを見つけた瞬間、私はぎょっとしました。偶像を作って、何かを捧げるという行為はまさに人間の「信仰」という行為をなぞっています。偶像の造型が稚拙だったり(マーカスの絵とはえらい違い)、捧げものもとりあえず身近で調達できるもの(チキンの骨だったらカルロスの食べ残しかなーとか花も庭先で咲いていたものかなぁと想像している)ということから、このアンドロイドが「偶像を作る」「それを拝む」「供物をささげる」という行為を自発的にやろうとしたものの、お手本がないから試行錯誤して自力で頑張った感じが伝わってきます。聖母マリア像や仏像などのように既に存在する偶像とは違い、正体も姿も分からない「RA9」に必死で救いを求めている様子も感じます。
話がそれますが、もしかしたらマーカスは、カールの絵を見て暮らしていたので、初めて描いた絵も完璧だったのかもしれません。アンドロイドの学習能力、恐るべし。門前の小僧習わぬ経を読む。画家の介護アンドロイド習わぬ絵を描く。

ところで、こんなところに神棚(で、いいのか?)を作ると、カルロスがシャワーできないし(流石にあのおっさんも生きてる間はシャワーしてただろうし)、「RA9」の存在は変異体になってから知る(意識する)っぽいので、おそらくこれらはカルロスを殺害してしまった後に作られたものではないでしょうか。
●屋根裏で犯人発見

名探偵コナー君がしくじらなければアーンド時間をかけすぎなければ、犯人のアンドロイドを屋根裏で発見できます。屋根裏上がってすぐに発見するこの人形って、エアバッグとかの衝撃実験用のに似てるんだけど、もしかしてカルロスがアンドロイドを手に入れる前にサンドバッグ代わりに殴ってたとかじゃないよね…。

案の定犯人のアンドロイドを発見。コナーに見逃すよう懇願してきます。LEDは赤色、明らかに怯え動揺しているその表情は、まるっきり人間。

それに対してこのスンとした表情…。ここで「選択肢が出るのかな?」と思いきや、即座にハンクを大声で呼ぶコナー。「うそ!?選ばしてくれないの!?」と驚きましたが、まさにこれこそがコナー=機械であることの象徴的なシーンかなとも思ったり。ch.1でも、人質を奪還するという目的のためには手段を選ばなかったし、目的を目の前にしてプレイヤーの介入を許さないあたり、コナーには犯人確保以外選択肢がないのだな。
ここで、ch.5は終了です。
●アンドロイドが事件を捜査するということ
ここでちょっと思ったことを。
死後約三週間が経過した殺人事件現場の捜査、考えただけでおぞましいし、すすんで行きたがる人間はまずいないでしょう。しかし、感情がないアンドロイドならば?死体の腐乱臭も嗅覚がないから問題なし、虫がわいて羽音をぶんぶんさせていても平気、凄惨な死体を目の当たりにしても平然としていられるなら、捜査アンドロイドを投入する(しかも事件発生時の再現も可能)のは至極合理的なのでは、と思います。現にカルロスの家を捜査していても、捜査員たちは死体の匂いや現場のグロさについてしきりに反応していました。実際トラウマになってしまう人もいるでしょうしね。
アンドロイドなら汚職もないだろうし、証拠捏造もしなさそうだし良いことづくめな気もします。となると、ハンクのような人間の刑事はどんどん淘汰されていってしまうわけだけど…。
以前、人間の仕事にAIを導入したら消えてしまう職業ランキング、なんて記事もありました。
この記事にある「土木作業員」「造園作業員」や「ホテルの受付係」(デトロイト署やストラトフォードータワーの受付もそうでした)はまさに作中で働いているアンドロイドそのもの。トッドはタクシー運転手でしたが、車の自動運転機能が進んだせいで職を失ったし。ゲーム制作者がこの資料を参考にしたのかもしれませんが、実際に映像として見せられると恐ろしい話です…。
ではでは今回はこのあたりで。Jonathanでした。
バイなら!
【ネタバレ】DETROIT:Become Human/デトロイトビカムヒューマン 考察③
どうもこんにちは。Jonathanです。

ついに!
トロフィー取得率100%を達成しました!
というわけでよろしくお付き合いの程。今回はチャプター4:「画家」をまとめました。
それではレッツラゴー!
前回の記事はこちら:
hootash-im-amenophas.hatenablog.com
Ch.4 画家
ここではカールの性格や嗜好、マーカスとの関係性、お宅訪問をメインに見ていきます。
ch.2で宣教師に罵倒されるわ店のおやじに小突かれるわ、はたまたデモ隊に暴力を振るわれるわ散々でしたが、無事お遣いを終了したマーカス。
●カール・マンフレッドのお宅拝見

一周目ではなんとなくマーカスは他のアンドロイドよりも特別な感じがあるなあと思っていましたが、二周目でいくつかその根拠に気づけました。カーラと比較すればすぐ気づけたのですが、第一に他のアンドロイドとは違う服を着ていること、第二に家の中ではアンドロイド識別服を脱いでいることが、その理由のように思えます。ボーナスギャラリーの内容を確認したところ、マーカスはカールの選んだ人間の服を着ており、アンドロイド法では個人の家の中においてはアンドロイドの識別服を脱いでもいいということになっているそうです。




かっこいいレリーフ。ガゼルと鳥?
ベリーニペイントで買ったものはどうやら画材のようだし、チャプタータイトルやあちこちに置いてある絵画、お宅の内装から、マーカスのご主人は画家で、階段に車いすレールが取り付けてあることから身体が不自由、そしてマーカスは身の回りのお世話のために働いているのかな、と想像。ご主人のカールを起こしに二階の寝室へ。




芸術家らしく、全ての家具や小物にこだわりが見て取れます。日本だとなかなかこんな色の壁紙を使うお家を見かけないけど、素敵だなあ。動物のはく製やデッサン、蝶の標本?精密画?もあります。前のチャプターで見たトッドの家とは大違い…。マーカスが満ち足りた家(とマーカスは思っているのかなぁ。アンドロイドだし)で暮らしているのがわかります。
●カール・マンフレッドという人


カールは起きてすぐ、マーカスに注射を打たれるのが日課のよう。しかも割と痛いみたい。採血だとあんまり痛いことはないだろうから、何か薬を入れているんだろうけど、薬の内容は作中で語られません。早々にマーカスに皮肉交じりの冗談を言いますが、マーカスも微笑みながら受け流しています。トッドとカーラの関係はいうなれば「使役」ですが、この二人の間柄には「家族」という言葉がぴったり。ここで、ch.2でマーカスがデモ隊に絡まれていると、カールがマーカスの服の乱れに気づきます。

「押し倒されただけ」と気にしていないマーカスに、「人間は愚かだ、そんなことをして何の意味がある。ケガはないか?」と、デモ隊に呆れ、マーカスを気遣います。もはやお父さんやんか…。カールはアンチアンドロイド派をよく思っていない様子。この時点で私はアンドロイドに思いっきり感情移入していたので、「こんな考えをしてくれる人もいるのか」と嬉しくなってしまう…。ここでマーカスは入浴介助のため、カールを抱き上げ、お風呂へ連れていきます。なるほど、足が不自由なのね。となると力仕事が多いだろうし、カーラのような家政婦のような見た目よりも力強い男性のタイプのほうが気兼ねなく世話をしてもらいやすいかも。そういえば、カールのパートナーや子供はこの家にはいないようです。
入浴が終わり、着替えを済ませてさっぱりしたところで、カールを車いすに乗せてダイニングへ連れていきます。マーカスに今日のスケジュールを確認するマーカス。MOMAというところで回顧展があるそうです。モマってなんだ?とググったら、どうやら近代美術館(Museum of Modern Art)のことらしい…?
ここでカールは「レオから連絡は?」とマーカスに尋ねますが、連絡はないとのこと。レオって誰や?アシスタントか仕事仲間のことかな?と最初は思ったのですが…。


「ベーコンと卵をお好みのスタイルでご用意してありますよ」なんて私も言われてみたい。
この日の朝食はカリカリのベーコンに目玉焼き、生のイチジクとコーヒー。余談ですがアメリカって(欧米?)、朝食のスタイルは好みがしっかり決まっていて、卵をゆでるか焼くかポーチドエッグかスクランブルかオムレツか、加熱加減までしっかりリクエストするらしいですね。お店で頼むときも自分の好みをきちんと伝えるそうな。彼らにしてみたら「そのために対価を払ってるんだから普通の感覚だろ」だそうです。ちなみに私はカールのスタイルの食べ方が一番好きで、目玉焼きには塩コショウ派、付け合わせはハムよりベーコンが好き(聞いてねえ)。

ここで気になったのが、コーヒーを注いだマグカップ。なんだこのかわいらしいスマイリーは。子供が描いたような絵だし、離れて暮らす孫がいるのかなぁ、と初見時は思ったのですが…。マグカップって、デザインや使い心地などその人の好みが表れるアイデンティティそのものだと思いますが、カールのインテリアや食器の趣味からこのマグカップだけはどうも浮いています。ちなみに私はよくひっくり返しそうになるので、安定感のあるどっしりかつ厚めのスタイルを使います(聞いてねえ)。
朝食を食べ終わるまでは好きに過ごすよう言われたマーカス。ぼーっとしていると、テレビから米露が北極圏をめぐって対立しているニュースが流れます。ひとしきり聞いていると、カールはテレビを切り、独り言ちます。
”人間は堕落した―(中略)
―愚行に暴力…
5000年もの文明を築き上げたというのにこのザマだ…“

ひとしきりつぶやき、考え込むカール。厭世家というか、人嫌いというか、過去に色々あったのだろうなと思わされる独白。我が庵はみやこのたつみ鹿ぞ住む、世をうぢ山と人はいふなり、ってね。
さてマーカスの暇つぶしはピアノ、チェス、読書の三種類が選べます。どれをとってもカールの価値観がうかがい知れる会話が聞けます。
●マーカスの暇つぶし

語り出すと長くなるのでチェスの場合のみ紹介。マーカスが駒を初期位置に並べていると、カールがスピードチェスの勝負を申し出てきます。チェスができるってだけで尊敬なのにスピードチェスて。マーカスはともかくどんだけ頭いいのカール。
ここでカールとの勝負に「負ける」か「勝つ」か、それとも「引き分け」かが選べます。さすがすごいAI積んでるなマーカス。


マーカスが勝つか負けるか引き分けか(八百長と言わないで)で会話の内容が少し変わりますが、わざとマーカスが負けたとき、カールはこのように言います。
”投げ出してはダメだ
勝てるならば勝て
そうやって人間は世界の支配者になったんだ”
二周目以降に聞くと、なんとも含みがあるセリフ…。カールはマーカスにおべっかやゴマすりを求めているのではなく、対等な一個人としての付き合い方を求めているようです。それに、アンドロイドは人間を超えられる可能性を認め、彼らを一つの種族として考えているようにも取れます。アンドロイドを尊重する彼の言動は、先ほどまでのカーラに対するトッドの態度とはあまりにも違いすぎて、なんだか複雑…。さらにカールはこう続けます。

”私がいなくなったらお前も…
自分で身を守り
道を選ぶことになる
自分は誰なのか
どうなりたいのか
人間は皆 同じであることを求めるものだ
だがその言葉に惑わされてはいかんぞ”
てっきり私は、所有者を失ったアンドロイドは廃棄されたり、リセットされて新たな所有者のもとへ送られると思っていたのに、カールはマーカスに自分が死んだあとは自立して一人で生きて行けと言うのです。それだけカールにとってマーカスは特別なのでしょう。のちに判明しますが、マーカスはこの世界のアンドロイド技術を確立させた天才、イライジャ・カムスキーによって作られたプロトタイプであり、友人同士であったカールにプレゼントされた特別モデルです。なので、見た目や性格、性別などはカールのためにカスタマイズされたのかも。

それと同時に、この言葉はプレイヤーにも向けられているようにも思います。これからマーカスに起こること、マーカスに決断をさせなければならない時、「自分は誰なのか、どうなりたいのか」を考え、「自分自身の選択をくだせ」と言われているかのようです。現に作中内ではこの後、特にマーカス編では様々な登場人物がマーカスに対して「慎重に選択しろ、その選択が未来をがらっと変えてしまうぞ」という警告じみたセリフを事あるごとにかけてきます。
またカールは、自分はそう長く生きられないと自覚しており、一方マーカスは不老である上に部品さえあれば不死でいることも可能、そうであればカールと過ごす時間よりも離れ離れになる時間のほうが長くなるだろう、と現実的に考えているようでもあります。
カールがマーカスに静かに語り掛け、教え諭す姿勢は、スター・ウォーズにおけるオビ・ワンとルークのようだな、とも思いました。
●お絵かきからわかること

朝ごはんも食べたし、スタジオに連れていくよう指示するカール。

しかし、大きい絵を描けるってすごいなぁ。一枚のキャンバスで絵画を描いたことのない私はひたすら圧倒されたシーンです。
少しすると筆を止めて、マーカスに感想を求めるカール。「好き」「嫌い」「わからない」と答えられます。

マーカスの返事に対して自分のことを自嘲気味に話すカール。マーカスは悲しそうな、戸惑いのような表情を浮かべます。ch.2のお遣いでは表情を少しも変化させなかったのに、カールと接しているときは(決して派手ではないが)繊細な表情の変化を見せるマーカス。もしかしたら、カールと接しているときは感情が芽生えているのかな…。
そうしていると今度はカールがマーカスに「才能を見せてみろ」と言います。つまり「絵を描いてみろ」というのです。

そんなことはプログラムされていないから無理だ、というマーカスに対し、とにかくやってみろと言うカール。この「プログラムされてない」という言い方はまさにアンドロイド。私も無茶振りされたら言ってみたい。

カールの仕事道具のパレットを手渡されるマーカスは、マジかよーという苦笑いと、ちょっと照れた表情をする。父親の仕事をみていたら「お前もやってみるか」なんて言われてうれしそうな子供のようにも見えます。

それなら、と手近にあるものを描いたマーカス。絵を描いたことがないのにここまでやるとは、さすがアンドロイド。ちなみに一周目の際、私はカールの絵を模写すると、きっとマーカスは完璧に写してしまうだろうから、それによってカールが気分を害するのではないかと思い、無難なものを描きました。するとカールからは意外な反応が。
”これは現実の完璧な複製だ
だが絵画では模写するだけでなく 自分が感じたことを解釈し
表現することが大事なんだよ”
ただ見たものをきれいに書いただけでは絵画ではない、ということかな。
確かにカールの絵はネオシンボリズムと言われるだけあって(意味は分からない)、見た人に何かを感じさせるものがあります。ちなみにさっきのカールの絵を「好き」と評したとき、マーカスは「何かが秘められているけど、その何かはわからない」と言いました。当初は「マーカスお前それ適当言っただろ」と思ったけど、それは「芸術を評論する」行為がプログラムされていないから、なのかも?もしかしたら「何かを見て、何かを感じ、言葉にする」という行為は人間だからこそできることなのかな。
すると、カールはもう一度筆をとるようマーカスに言います。
”マーカス、目を閉じてみなさい
存在しない何かを思い浮かべろ 見たことのない何かだ”
目を閉じて筆を走らせるマーカス。アンドロイド→宿命を選ぶと、こんな絵になりました。


いや、暗いな!?
中央にいるのはおそらくマーカスで、その後ろには機械の部品が転がっている様子。アンドロイドのパーツかもしれません。おそらくマーカスが今まで目にしたカールの絵に影響を受けたものだと思われますが、カールは一言、
「素晴らしい」
と言います。もしマーカスが良い絵を描いたら、カールは画家としてのメンツが潰されたとかで怒ったり傷つくんじゃないかと危惧していましたが、むしろ誇らしげに心から賞賛してくれてほっとしました。この絵がマーカスから生み出されたオリジナルのものだということに喜んでいるようだし、例えアンドロイドの画家が台頭したとしても、カールは別段気にしなさそう。
年老いた画家とアンドロイドの心温まるお話でした。
…で、終わるわけないんだよな、これが。
●カールの息子、レオ
お絵かきしてほっこりしていると闖入者がやってきた。お前がレオか!!!

開口一番「なあ親父、金が必要なんだよ」ときたもんだ。典型的な、金持ちの親にたかるくず息子じゃねえか。ワンストライク!!!!!
それに加え、落ち着きのない挙動、うつろな目、妙なテンション、これはもしや…

カール「また薬をやっているのか」
ツーストライク!!!!
これ無人だったら絶対どっかからお金かカードくすねていっただろ貴様!!!
カールからきっぱりと金の無心を断られ、マーカスがレオを追い返そうとします。するとレオの怒りの矛先はマーカスに向けられます。
”どうせ自分の息子より、そのおもちゃのほうが大事なんだろう?あ?
こいつのどこがそんなにいいんだ?
賢いから?従順だからか?俺とは違って
だけどな こいつはあんたの息子じゃねえ
こいつはただの機械だ!”
スリーストライク、アウト!!
カールに一喝されると、さすがに黙るレオ。それでもなお食い下がります。
”あんたが愛しているのは自分と自分の絵だけさ
人を愛したことなんて一度もないんだろ
―俺のことだって”

それだけいうと、マンフレッド邸を後にするレオ。最後の一言を放った時は、怒りと、カールの愛に飢えた思いがひしひしと伝わる荒んだ表情をしていました。
このままで終わるはずがない…カーラ編とはまた違った種類の暗い不安を抱えて、このチャプターは終了します。
レオとマーカスの関係については、また後のチャプターで語ることにし、今回はここまで。
バイなら!!